My dear, xxxx


彼女とはいつも共に居た。もう何年の付き合いになるだろうか。晴れの日も、雨の日も、暑い日も寒い日も、上官の命を奪ってしまったあの時でさえ、彼女は自分と一緒だった。
初めて目にしたときから、確信していた。疑うことすらなかったその確信に間違いはなかったことが証明された今では、彼女に関しては誰にも劣らないと言えるほど絶対の自信を持っている。
今こうしてMSWAD基地内で整然と静かに佇む姿は凛としていて美しくもあるが、けれどやはり自分達の本当の居場所はあの蒼く、蒼く、広い空なのだろうと感じる。

彼女の活躍の場はこれからもどんどん広がっていくこととなるだろう。自分達の活躍が認められ、彼女の評価は瞬く間に高まっていった。今では多くの同士たちから羨望と期待と慈愛の眼差しを向けられるようになった。それはまるで大事に慈しんできた我が子が親元を離れていくかのようでもあり、少し淋しさすら感じてしまう。そんなことを思ってしまう自分に対してはきっと誰もが苦笑を漏らすだろう。

自分が彼女を手放すことはないだろう。そのときが来るとしたら、それは彼女と共に散るときだ。

コクピットのハッチを閉め、操縦桿を握る。そうして「、」と親しみと愛しみの気持ちを込めて、愛機フラッグの名前を呼ぶ。返事の代わりに聴こえる慣れ親しんだ起動音。それに安心すると同時にオペレータから通信が入ってくる。針路クリアのコールに了解の意を示し、発進態勢を整える。自分達を導く、真っ直ぐに伸びた滑走路の向こうに開ける視界。高まる緊張と大きくなるエンジン音。―そして加速。
そうして彼女と自分はまた、大空へと飛び立つのだ。

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